■ 大工の独りごと / 01 職人のこころ − 大工道具のひとつ鉋(かんな)の話
〜 職人は不器用です 〜
実父でもあり、優れた親方でもある親父の元に弟子入りした、ある一人の男の話。
その息子は、兄弟子達に負けたくないと、日々仕事に取り組んでいました。
ある程度職人として磨きがかかってきた頃… 自分の仕上げた柱と、親方の仕上げた柱の違いに気づきます。
それは、素人はもちろん兄弟子達にもわからない違いでした。息子はその日、親方の元を離れる決心をします。
理由もいわず出て行く息子を、もちろん親方や兄弟子達は止めました。
「どうしても行くなら二度と戻ってくるな!」親方が最後にかけた言葉でした。
独り、親方の元を離れてさらなる修行の日々がつづきました。
数年がたち…差出人不明の1通の封筒が親方の元に届きます。
もちろん息子から送られたものです。中には「鉋屑(かんなくず)」が一枚入っているだけでした。
兄弟子達には何のことか解りません。しかし…親方には一瞬で、その意味が解りました。 「みごとな鉋屑・・・」
それは、息子が親父と肩を並べた証でした。
息子は自分が納得できる「鉋屑」を出せたことを父親に報告したのです。
父は、息子が離れた訳と、どれだけ努力を重ねたか…すべてを理解し、離れた息子を許したといいます。
これは、職人として極みに達した者だけに そのすばらしさや難しさ、深さがわかるという「鉋」にまつわる話です。
しかし近年では、こうした「鉋」をかける仕事が少なくなってきているようです。
自然素材を加工して仕上げるのではなく、工業製品を張り合わせ、金具で固め、塗料でかくし、石油製品の
壁紙などで仕上げるような家が目立ちます。
この時代の流れの中で、本当の職人という存在、技術を継承していく存在が少なくなっている現状は
悲しいことです。
■東工務店では鉋の仕上げにこだわり、柱の仕上げ1本1本をすべて機械鉋ではなく、手鉋で仕上げています。
このことに気づかれるお客様はあまりいらっしゃらないのですが、先日のことです、
完了検査にこられた年配の検査員さんが、柱の仕上げにお気づきになり感心されていました。
1人でも気づいてくれる人がいるのだと、勇気をいただいた瞬間でした。
●兵庫県美方郡香美町香住区香住にある工務店です。設計から施工、品質管理、アフターサービスまで責任をもって提供させていただきます●
ZEHビルダー:建築士会会員:ひょうご木の匠:兵庫県住宅改修業者:クリナップ水まわり工房会員
あんしん住宅瑕疵保険取扱店(10年保証):ジャパンホームシールド地盤保証取扱店:太陽光発電取扱店(MITSUBISHI認定施工店)